この記事では、LINE公式アカウントをランダムに300調査した結果を、簡易なグラフと併せてご紹介していきます。LINE公式アカウント導入を検討されている方や既にLINE公式アカウントの運用を始めている方、そして導入支援を行っている方向けの記事となっています。
前回、中間報告的に100アカウント調査版の記事も執筆しました。こちらも併せてどうぞ。
はじめに:調査方法と注意事項
対象となるアカウントの見つけ方:(※前回同様)
1、LINEアプリのホーム画面上の検索窓にランダムに文字列(2-4文字)を入力
2、表示された公式アカウントの結果のうち〇〇番目のアカウントを調査(〇〇には1-10のランダムな数値を適用しました)
【参考】利用したランダム出力が出来るサイト
・ランダム文字列ジェネレーター
・乱数メーカー
・認証済アカウントとプレミアムアカウントのみが対象(未認証アカウントは検索対象外のため)
・1-10番目に表示されるアカウントは友だちが多いあるいはプレミアムアカウントのような信頼性の高いアカウントである傾向が強い可能性あり(上位表示のため)
認証済アカウント or プレミアムアカウント
全体300のうち認証済アカウントが172、プレミアムアカウントが128となりました。
LINE公式アカウントには三種類あります。
未認証アカウント:無料で誰でも開設できる未認証のアカウントです。認証を済ませないとLINEの検索窓からアカウントを見つけることが出来ません。検索できないため、今回の調査対象外。
認証済アカウント:LINE公式の審査が完了したアカウント
プレミアムアカウント:認証済アカウントの中でも特にLINEのお墨付きをもらったアカウント(購入等は出来ません)。基準は非公開。一般的に有名人やブランド力のある企業が多くなっています。
業種ごとの割合(認証済、プレミアム別)
認証済アカウントとプレミアムアカウントで業種ごとの傾向が大きく違っているため、分けて割合を出しています。認証済アカウントでは「小売」が最も割合が多く、続いて「飲食店」「美容院・サロン」となっています。その他にもBtoCのビジネスであれば幅広い業種のアカウントが存在しています。反対にBtoBを想定したアカウントはほぼ見受けられませんでした。LINE自体がもともと個人同士のチャットアプリになるので、自然な結果という印象です。
プレミアムアカウントについては、その約半数が「個人(インフルエンサー多め)」となっています。この個人の内訳は以下で少し掘り下げます。「メディア」「小売」が続いて多くなっています。「メディア」はLINEニュースを配信している各運営元のアカウントが多数です。その他、テレビ番組(バラエティやドラマ、歌番組)の専用アカウントなども見つかりました。放送前になるとチャットで通知してくれる、というのは面白い利用方法ですね。「小売」については、認証済アカウントと同様に法人運営アカウントです。プレミアムアカウントとしてLINEにお墨付きをもらっていることからも分かるように、誰でも知っている有名企業や有名ブランドが顔を揃えています。友だちの数も桁が一つ二つ多いです。
個人(プレミアムアカウント)の職業別割合
プレミアムアカウントの過半数を占めている「個人」の職業別内訳を出してみました。
「歌手・バンド」については、ソロミュージシャンもバンドグループも、事務所所属も非所属も関係なく全て「歌手・バンド」にまとめています。事務所所属なら法人アカウントじゃない?と思われた方もおられるかもですが、アーティスト個人にスポットを当てて情報発信をしていることから、この実態に即して「個人」に振り分けました。感覚としてもこちらの方がしっくりくる印象です。
今やマルチに活動されている方が多いため、声優とアイドルなど被り気味のものもあえて分けています。一番最初に肩書を上げるならこれ、というもので分類をしました(AKBなら「歌手・バンド」ではなく「アイドル」、かつてスポーツ選手だった人がテレビに出てタレント活動している場合は「芸能人」ではなく「スポーツ選手」に割り振っています)
「イラスト・絵師」はスタンプが人気な方々のアカウントです。「占い」は6.8%ありますが、LINE公式サービスのLINE占いをされている方々のアカウントです。全体的にみなさん「LINEブログ」をされている方のLINE公式アカウントが多かった印象です。LINEブログをされている方はデフォルトでLINE公式アカウントが存在していて、記事更新の際は通知を受け取ることが出来る仕組みになっている、ようですね。
さて、ここから先は認証済アカウントだけに絞って紹介していきます。サンプル数は前述の通り全て172です。
友だち数の割合
友だちの数が1,000人以下のアカウントが47.1%です。前回同様501-1,000人の割合が低くなっており、一方で1,000-5,000人の割合が最も比率として多くなっています。この緑色の層が法人アカウントとしてもっともしっかりと運営されている印象は変わりませんでした。友だち集めの一つの目標(指標)として1,000人というラインが意識されているのではないかという感想を持ちました。5,000人を超えてくると、上位25%に入るということが分かりました。
リッチメニュー利用率
ぜひ活用して欲しい基本機能No.1なのですが、約半数のアカウントで設定されていないということが分かりました。ぜひ使ってください(設定は最初ちょっと手間がかかりますが)。効果は大きいですよ。
✓リッチメニューってなに?
トーク画面下部に設定可能なメニュー機能のことです。右図では3分割のテンプレートを利用していますが、1~6分割まで様々なテンプレートから選べます。さらに柔軟なカスタマイズがしたい場合は拡張機能(API)を利用します。公式ページも併せてご覧ください。
クーポン・サンプルの配布率
クーポンやサンプル配布を利用しているLINE公式アカウントの割合を調べました。「小売」「飲食店」「美容院・サロン」を始めとして様々な業種で活用されていました。一方で独自ブランドを展開しているアパレル会社などあえてクーポンを利用していないと思われるアカウントも見受けられました。そのため割合としては約半数に落ち着いています。
前回の記事でも書きましたが、クーポン・割引戦略は企業方針によるので、何とも言えませんね。ただ、TwitterやInstagramなどで全体へクーポン配布をせずに、「LINEの友だちだけに限定してクーポンを配布したい」や「初来店後のユーザーへ向けて特別クーポンを配布したい」など、効果の高いクーポン戦略が出来る、という意味ではLINE公式アカウント&クーポンの組み合わせはやはり無視できないなと感じています。
ちなみに今回は「初来店後のユーザーへ向けて特別クーポンを配布したい」といった利用をしているアカウントは外部から捕捉できなかったため配布アリに集計されていません。ごめんなさい。
LINE VOOM(タイムライン)投稿数割合
お次はどれくらいの割合のLINE公式アカウントがLINE VOOM(タイムライン)投稿を行っているか(頑張っているか)、といったデータを集計しました。前回の記事でも書きましたが、相関係数も以下の通り出してみました。 ⇒相関係数についてはこちら。
認証済アカウントのみ:0.276(非常に弱い相関)
プレミアムアカウントのみ:0.483(そこそこの相関)
このデータだけ見ると、プレミアムアカウントに限って見ればそこそこの相関性があるように感じてしまいますが、1アカウントだけとんでもない外れ値が見つかり、それを抜くと相関係数も0.08(相関性なし)まで急落しました。
(とんでもないアカウント ⇒友だち数:3500万人、VOOM投稿:5万件)
今回はもうちょっと条件を絞って、以下の範囲内で相関性がないかを調べてみました。
条件:(認証済アカウントのみ対象)
友だち数:10,000人以内(全体の82.6%をカバー)
LINE VOOM投稿数:300以内
の両方を満たすアカウント(計136)
相関係数:0.175(相関なし)
上記の条件下での散布図:
赤ライン上に点が集まれば相関性が高くなっていきます。どの範囲で絞ってもライン上には並びそうもありません。という訳で現状、LINE VOOM投稿を頑張っても友だち数の増加には繋がりそうもない、と思われます。
友だちを増やすという目的においては、既存のSNSやリアル店舗での声がけ、その他経路からの誘導を頑張りましょう、というお話ですね。
友だちを増やす効果はなさそうですが、LINE VOOMは既存の友だちへの定期的な案内に活用することが可能なので、そのような活用方法を考えましょう。LINE VOOMを活用したい場合は以下の記事なども併せてご覧ください。
API利用率
LINE公式アカウントには「基本機能」とAPIを利用した「拡張的な機能」があります。基本機能についてはこちらの公式記事をご覧ください。拡張的な機能についてはLINEマーケットプレイスを見て頂ければイメージが掴みやすいかと思います。
今回、どれだけのLINE公式アカウントが拡張的な機能を導入しているかを調べたところ、拡張的な機能を導入しているアカウント割合は7.6%となりました。反対に基本機能のみを利用しているアカウントは92.4%となっています。今回の調査では、あくまで外部から見た際に基本機能のみを利用しているか、拡張的な機能を活用しているかを判断したため、実際にはもう少し利用ありが増える可能性は否定できません。ただ、この青い部分がひっくり返るようなことは無いかと思われるため、多数派は基本機能のみで運用しているものと考えられます。
このAPI利用が低い理由については、前回の中間報告時に既にまとめているため、再掲します。(前回記事もぜひご覧ください。)
API利用率が低くなった理由を推測:
- 追加料金がかかることから、小規模なアカウントではコストパフォーマンスの面で導入が見送られている。
- LINE公式アカウントの基本機能自体が近年、拡張されてきていることから、基本機能だけで足りていると考えているユーザーが一定数いる模様、あるいは拡張機能のメリットをあまり感じ取れていないので導入していない。
- そもそもAPIが何か良く分かっていない、APIの認知が広がっていない。
拡張的な機能を利用しているLINE公式アカウントの特徴として、友だち数が全体平均よりも多い傾向にあり、設計などがしっかりと考えられている優良アカウントである割合も高い、といった結果が出ました。これは感覚としても自然ですね。
運用停止率
VOOMの投稿がしばらく止まっていたり、リンク切れやクーポン切れが発生していたり、HP上で明らかに閉業となっているアカウントの割合を出しました。約3割のアカウントが何かしらの理由で運用を辞めています。またメッセージ配信はしなくなったが、VOOMのみ投稿を続けているアカウントについては運用中としています。
運用を辞めてしまった原因としては以下のようなパターンが考えられそうです。
- 友だちが少なく、思ったように集まらない
- 友だちの数は一定数いるが、有料に見合う成果が出なかった
- 運用担当者がいなくなったため更新が途絶えた
このグラフからも分かる通り、友だち数が少ないアカウントほど運用を辞めてしまっている割合も高くなっています。運用効果が出なかったり、効果が出る前に諦めてしまったりといった状態かと思います。これは他のSNSでも同じことが言えますが、LINE公式アカウントはそもそも導入すればすぐに効果の出るツールではないのです。アカウントを育てていくという認識を持って臨むのが良いと思います。
最後に
さて、いかがだったでしょうか。LINE公式アカウントを300調査して、筆者が個人的に気になったデータを元にご紹介させて頂きました。今回の調査を通して、LINE公式アカウントって工夫次第で色々な使い方が出来るんだなぁと、改めて気づかされました。そしてとても素晴らしいアカウントを発見して、筆者自身もとても学びにつながりました。
TwitterやInstagramなどでも同様のことが言えますが、LINE公式アカウントをうまく運用していこうと思ったら、まず同業他社さんのいい事例を見て学ぶ(そして真似する)ことが有効な手段ではないかなと感じます。今回の調査がそんな他社分析の一助になれば幸いです。皆さんもぜひ、他社さんのアカウントを参考にして、自社のアカウント運営に活用してみて下さい。
おまけ:優良アカウント22選の業種別割合
今回、300アカウントのうち、とても参考になると筆者が感心したアカウントが全部で22個ありました。そのアカウントを業種ごとにグラフ化してみたのが上図になります。幅広いですね。LINE公式アカウントはこのように多くの業種で活用されています。
もし上図の業種に含まれている事業を運営中で、これからLINE公式アカウントを開設してみたいとお考えの担当者の方がいましたら、ぜひぜひ今すぐLINE公式アカウントを開設してみて下さい。優良アカウント22選が知りたいといった方は、以下の資料配布ボタンからお問合せ下さい。事例として最適かと思います。
またL×Lマーケティングでは、LINE公式アカウントについての様々な情報を発信していきますので、この記事が気に入った方はブックマークやシェアなどして頂けると、執筆者の励みとなります。お問合せやご意見は以下のフォームからお気軽にどうぞ。
資料配布中です
前回同様、集計した300アカウントの調査資料を直接見てみたい方は、以下のフォームよりお問合せ下さい。お問い合わせ後に、スプレッドシートのリンクをお送りさせて頂きます。
今回のグラフは筆者が簡易に出力したものになるため、さらに詳細な情報を見たい方や、ご自身で別のソートをかけて集計結果を表示したい方など、理由は特に問いません。
それでは、またの記事で。